アフィリエイトではキーワード選定が大事。これは常識と言っても過言ではありません。多くの方がお宝キーワードを探したり、キーワードの検索ボリュームを気にしたりしています。
しかし、こうしたキーワードに基づく思考法というのが本当に理にかなったものなのか、少し疑問も湧いてきました。
商標キーワードならたしかに大事だが…
キーワードとは、検索ユーザーの疑問や悩みが言葉になったものです。たいてい、2語3語くらいの単語の羅列として検索窓に打ち込まれます。コンテンツではそれへの答えが求められます。
たとえば、商標キーワードを例にとってみましょう。「iPhoneXR 64GB 値段」だったら、これは疑問も書くべき答えも明確です。iPhoneXRの値段を書けばいい。AppleStoreの場合とキャリアで買った場合を書いたり補足情報を充実させるなど工夫の余地はありますが、基本的に何を書けばいいかは明白です。
このように「商標+〇〇」という検索キーワードなら、何を書けばいいかはわかりやすい。以前はここにさえ苦労していた……というか、必要以上に難しく考えていましたが、はっきり言ってここは簡単です。キーワードと求められるコンテンツがほぼ一対一に対応していますから。
逆に、その対応がはっきりしているからこそ、めだつ商標キーワードでは文字数勝負・ブラックSEO勝負という状況が生まれるのかもしれません。コンテンツでの差別化がしにくいので。
では、商標キーワード以外の場合は……?
一般キーワードのケースで考えると
悩み系キーワード、あるいは何かを知りたいときに打ち込むキーワード、つまり、一般キーワード。こちらはかなり状況が変わってきます。もともと検索ユーザー(人間)が持っている疑問や悩みというのは曖昧なことが多いし、キーワード=言葉となるときに多様な現れ方をするものです。
ユーザーの頭の中にどんっと疑問や悩みの塊があったとして、それを解消するために出てくるキーワードはか細い線でしかない。疑問や悩みからはいくつものキーワードが発生してくるけれど、逆にキーワードの方から辿っていくと、疑問や悩みの本質を捉えるのは難しいと思うのです。ここにキーワード・ベースの発想の弱点がある気がする。
例を出しましょう。
たとえば、30代男性が運動不足になってて、ちょっと太り気味だとする。特にお腹の肉が気になってるとする。家で腹筋やストレッチをするけどなかなかお腹が凹まない。まだ本気で対策するほどではないけど、簡単に痩せられるなら痩せたいと思っている。いえ、だれのことかは重要でないので、そういう人がいたとします。悩みや疑問はわかりましたね?
この人が打ち込むキーワードとして、たとえば「お腹の肉 落ちない」というのがありうるでしょう。検索ボリュームは月間60です(Ahrefs調べ)。
で、「お腹の肉 落ちない」の検索結果と、出てきた記事の主な流入キーワード=検索クエリがこちら。括弧のなかはそのクエリでの1ヶ月の流入トラフィックです。また、検索結果の動画と画像は除外。
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というわけで、「お腹の肉 落ちない」というキーワードは検索ボリュームたった60ですが、これが指し示すところにあるコンテンツはけっこう大きなもので、別のキーワードで多くのアクセスを呼び込んでいます。しかも、「お腹の肉」は「腹回り」や「お腹の脂肪」だったり、「落ちない」は「痩せない」だったり、いくらでも言い換え可能だというのもわかります。
この例はちょっとイマイチでしたが、検索結果には男性目線ものもあれば女性目線のものもあり、「お腹の肉 落ちない」の答えはひとつに確定するものではありません。
つまり、一般キーワードの場合、ある一つのキーワードに着目して、それに一対一対応の答えがあるかのように考えるのは間違いだ、ということです。たまたま着目した一つのキーワードは検索ボリュームが小さいかもしれないけど、その先には大きなニーズ・悩みがあるかもしれません。

コンテンツSEOの意味
もし、ある悩みや疑問が大きなものであれば——たくさんの人が持っているものであれば——これはキーワードとしてはさまざまな現れ方をします。特定のキーワードとしてはボリュームが少なかったとしても、広く浅く、いろんな表現でアクセスを集められるかもしれません。
と考えると、やはりキーワード偏重は間違っているような気がしてきます。
最近、SEOに関してはよく「コンテンツ重視になってきた」とか「ユーザーの疑問を解消してあげるのが大事」と言われていますが、この意味も、上記のような文脈で捉える必要があると思います。
ただ単に「コンテンツをよくしよう」とか「疑問を解消する記事を書こう」とだけ考えていると、どうしても特定のキーワードにこだわり、それへのQ&A的な記事を書きがちです。しかしこれではニーズのごく一部しか見えてこないし、他の幅広いキーワードからのアクセスを期待できない。結果、よくある無個性な記事としてネットの中に埋もれていくことになります。
そうならないためには、ニーズそのものをまず捉えることが大事。まずはマーケティングの調査・分析をして、悩みや疑問そのものを捉える。で、そこにフォーカスして記事を書く。そうすれば、流入キーワードはあとからついてくる。そう、キーワードはあとからついてくる。
こういう捉え方をしてみてはいかがでしょう?
補足:キーワードは100%無視でいいのか?
ただし、キーワードを完全に無視していい。というのはちょっと言い過ぎだと思います。
キーワードをベースとした発想からは抜け出した方がいいけど、最終的に記事をブラッシュアップしたりリライトしたりするときには、意識してGoogleにわかりやすい単語・表現を入れるくらいはした方がいいと思います。
このあたりはHタグをちゃんと順番通りに使うとか、強調タグを使いすぎないとか、そういうレベルでの気の使い方ですね。そのくらいの感覚でいいのかもしれない。
あと、こういった話はあくまで一般キーワードのことであって、商標キーワードを狙う場合は当てはまらないと思います。「商標+〇〇」ならニーズはすでに明確で、多様なキーワードは生まれにくいので、文字数や記事数・被リンクなどでの勝負になるでしょう。
まとめ
ながらくキーワードを重視してアフィリエイトをしてきましたが、方向転換しようと思います。キーワードじゃなくて、マーケットを、悩みや疑問そのものを捉えて、そっち側からスタートしたい。
Googleの精度が上がれば上がるほどそっちの方が有利になることはほぼ確実ですし、現状でも、多様なキーワードからトータルで多くのアクセスを集めるにはその方がいい。キーワードを基準・出発点にして考えてしまうと、いろいろな弊害が出てくると思います。
「これからのSEOはコンテンツ重視」とは、このような意味でしょう、きっと。