ブログはもうオワコンだ、なんて声が聞こえてきました。文章を主体としたウェブサイトの時代はもう終わり、動画全盛の時代になるというのです。
果たしてそんなことになるのかどうか、動画とテキストの特徴を踏まえて考えてみました。
ブログはもうオワコン説
この説を唱えていらっしゃるのがイケダハヤト氏です。私は名前だけしら知らなかったのですが、つい最近YouTube動画を視聴しはじめ、この話を聞きました。
ブロガーは、もう衰退していく。稼ぎにくくなっていく。――こんなお話を、おそらく日本で一番有名なブロガーであるイケハヤさんがおっしゃっていたのです。
どういうことかと言いますと、いまブログやウェブサイトは大手企業がかなり大きな資本を投下して本気で取り組んでいる。ライターを雇って毎日膨大な数の記事を入れている。だからSEOもどんどん厳しくなってきて、個人では太刀打ちできなくなってきた、というのです。
さらに、2020年から5Gという高速通信技術が実用化されて、データのやり取りが圧倒的に増大かつ高速化する。となると、動画はさらに快適になり、テキスト主体のブログやウェブサイトは衰退していく。ブログから動画へ時代が変わっていく。
だから、ブログはもうオワコンなのだ。こういったお話です。
たしかにこのような傾向はすでに見られます。そして、もしブログやウェブサイトが本当にオワコンとなるなら、アフィリエイトサイトも苦境に立たされそうです。こう危惧する方もおられるでしょう。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
動画の強みと弱点
動画はここ数年で圧倒的に普及してきました。いわずもがな、スマホの普及とYouTuberの活躍により、動画文化は爆発的に広まったのです。
ウェブサイトのときは文章と画像でしか表現できなかったわけですが、動画なら個人のキャラクターやトークなど、さまざまな要素で視聴者を楽しませることができ、しかも気軽に視聴できる。これまでインターネットをほぼ利用してこなかった人までをも動画文化は取り込んでいきました。
改めて動画の強みを考えてみますと、大きな要素として受動的に楽しめるということがありましょう。
好きなチャンネルの最新動画をチェックしたり、気になる事柄を検索したりして、再生ボタンをタップ。あとはもう、放っておくだけでOKです。勝手に映像と音声が流れて、こちらは何もする必要がありません。その動画が終わったら終わったで、次に気になるおすすめ動画を選べばまたそれが自動で視聴できる。
この受動的な姿勢でいいという部分は動画の大きな強みです。
一方、弱点もある。
第一に、動画は流し読みができません。ブログならばざざっとスクロールして気になるところまで飛ばせますが、動画でそれをやるのは難しい。好きな時間まで飛ばすことはできますが、どのタイミングでこちらの見たい場面がくるのかはわかりません。ざざっと全体的な内容を数秒で把握する、ということもできません。
次に、視聴しようと思った動画が一定のクオリティを備えているかどうかも、ちょっと判断しづらい。
サムネイルで「これはよさそう」と思っても、いざ再生してみたら思っていた内容と違ったり、全然こちらの意図と違うお話だったりということもありえます。これもテキストベースのサイトならざざっとスクロールすることでちゃんとしたものかどうか目星をつけられますが、動画だとそれがやりにくいのです。
テキストのブログも捨てたもんじゃない
では、文章で書かれたウェブサイトはどうでしょうか?
動画と違い、アクセスした瞬間にざざっと下までスクロールして知りたいことが書かれているかどうか、内容が一定クオリティを超えているかどうかをチェックできます。また、目次があって見出しもあるから、その点でもざっくりした内容を最初に短時間で把握しやすい。
ある事柄についてゼロから概略を知りたい場合は上から下まで読む必要がありますが、ピンポイントで「これだけ知りたい」というときなどは断然動画より文章の方が適しています。
他にも、テキストの優位性はあります。
当たり前のことですが、音声なしで済むというのもメリットです。外出中だったり、テレビを見ながらだったり、そういうシチュエーションにおいてスマホで見るのは動画ではなくブログでしょう。
また、ものによってはテキストの方が使い勝手がいい場合もある。たとえば料理のやり方は動画で見た方がいいですが、必要な材料一覧やざっくりした調理手順なんかは文章の方がいい。ここはケースバイケースです。
それから、やや複雑な論理で構成されたコンテンツというのも、テキストの方が向いています。
動画や音声は受動的でいい分、頭を働かせる余地が少なくなりがちです。それに、映像や音には余計な情報が多すぎる。しかし、文章であれば純粋に意味だけが入ってくるし、読みながら思考が働くため、少し複雑な論理でも伝えることができる。
まとめると、テキストがもつ有利な点はこうです。
- 流し読みができる
- 他のことをしながら読める
- 情報のまとめに適している
- 動画より複雑な論理を伝えやすい
こうした特性があるので、単純に「ブログはオワコンで、これからは動画」とも言えないと思うのです。
アフィリエイトサイトのこれから
ただ単に「ブログはオワコン」などと言われると、アフィリエイトにも未来がなさそうに思えてきます。しかし、動画には動画の特性があり、テキストベースのサイトにはそれなりの長所がある。テレビとラジオでさえ並存しているのですから、動画とブログは今後も末長く補完し合うかたちで存続していくでしょう。
……と、ここまで書いて、大手企業が手がけるキュレーションサイトのことを思い出しました。
たしかに、動画とは無関係に、MERYに代表されるキュレーションサイトは驚異です。これまで個人のアフィリエイターが取れていたビッグキーワードはそういった大手のサイトに席巻されてしまうかもしれません。最近はライバルチェックをしていても、法人が運営しているサイトが目につきますから。
ライティングに関しては、大手企業が本気を出して、狙ったジャンル・分野に詳しいライターを雇って書かせれば、かなりクオリティの高いものができるでしょう。ちょっとネットや本でリサーチしただけのアフィリエイターでは太刀打ちできなくなるかもしれない。
しかし、そこでポイントとなるのはキーワード選定ではないかと思います。
ビッグキーワードをドメインパワーと高品質な記事で攻めるのは難しくても、ニッチなキーワードやずらしたキーワードを狙っていくのはたぶんまだまだ可能。しかも、アフィリエイトを自分でやっていないライターには、そういった一般的でないキーワードの記事は書きにくいはずです。
こちらは少し希望的観測もまじっていますが、とにかく、テキスト主体のブログ、アフィリエイトサイトはまだまだやっていく価値があると感じています。
まとめ
「ブログはオワコン」というのはパワーワードで、つい反応してしまいます。けれど、ブログにも強みはあるし、急速にオワコン化するタイプのメディアではないはずですので、真に受ける必要はないでしょう。
ブログもアフィリエイトサイトも、まだまだ稼ぐ余地はあると思っています。
ただし、情報の種類によっては動画への移行は進んで行くはずですので、じょじょに動画もやった方がいいのは確実。できればYouTubeはやっておきたい。それから、サイトを作る場合はなるべく動画を併用するか、もしくは動画に代替されにくいコンテンツを作るといいかもしれません。