作家の岩崎夏海さんのクリエイター講座に参加してきた。今回で5期となるが、はじめての参加だ。岩崎さんのブロマガは2013年8月あたりから購読しているが、実に4年半を経てご本人と対面することができた。

今回はその第1回の感想を軽く書いておこう。

ちなみに、以下のまとめは私というフィルターを通しているので実際の話とは違ってしまっているかもしれないが、ご容赦いただきたい。

岩崎夏海クリエイター講座5期第1回の内容

前半1時間ほどでこの塾の意図について説明があった。「クリエイター講座」とはなっているが、この塾は特に作家志望や映画監督志望など、狭義のクリエイションについて教える場ではないとのこと。

では何を教えるのかといえば、それは「生きて行く上での問題解決」である。

いま、社会はめまぐるしく変化している。中でも、「仕事」というものの意義や重要性が変わっている。社会人は多くが忙しく働いているようだが、実は「仕事をしているフリをしている」というのが岩崎氏の洞察である。具体例として、某牛丼チェーンでレジ内を小走りしているという現象が挙げられた。

では、問題解決のためにはどんな能力が必要なのか? ここで述べられたのは「論理的思考」と「思考法のツール」という2つの能力、ないし手段である。

人間は往々にして感情によって動く。感情に支配されている。だからこそ、論理的思考が必要だという。いま、一般的にはコミュニケーション能力が重視されているが、第一に挙げられたのが論理的思考だというのが興味深い。私自身はある程度できているつもりだが、さらに塾を通じてこれを彫琢していきたいものだ。

次に思考法のツールについて。例として挙げられたのはイチローだった。イチローは怪我をしないことで有名らしいが、それは彼が実際に怪我をする前に、その予兆を認知して怪我を回避しているのだとか。たしかに、怪我や病気というのは、一見突発的なものに見えても、実はその前兆というのはあるものだ。これを感じ取ってトラブルを避ける能力も、問題解決のための有力なツールとなる。

成功とはバッターボックスに立ち続けること

成功とは何か? 失敗とは何か? ここはとりわけ印象に残ったお話だった。普通、成功というとベストセラーを出すとかオリンピックで優勝するとかいう華々しい成果をイメージするが、岩崎氏の認識は違う。成功とは、すなわち、バッターボックスに立ち続けること

まとめると月並みな言い方になってしまうが、つまりは途中でやめず諦めず、挑戦を続けるということ。これこそが成功の秘訣……あるいは、この姿勢そのものが成功だという。

例として出されたのは岩崎氏の師匠・秋元康さんのこと。私は全然詳しくないのだが、秋元氏はおニャン子クラブからAKB48までのあいだ、1988年から2006年あたりのほぼ20年間、大ヒットは出せないがアイドルのプロデュースを続けていたのだとか。

続けることの大切さ。これはアフィリエイトでもしょっちゅう言われることだ。やめたらそこでおしまい。続ければいずれ成果が出る。成功しているアフィリエイターが真っ先に口にするのはやはり続けることの大切さなのだ。

効果的な学習の秘訣はアウトプットである

勉強の大切さについてもお話があった。そこで強調されたのはアウトプットの大切さだ。勉強というと学生時代の固定観念で、ついインプットのことだと思いがちだ。本を読んだり、何かを暗記したり。けれど、もっとも成果が出るのはアウトプット。

自分で何かをしゃべることで気づくこともあるし、「学ぶ」というよりむしろ「教える」ことではやく上達することがある。このアウトプットに重点を置いた勉強法というのも、意識して取り入れていきたい。

アフィリエイトのやり方についても、もう少し報酬がアップしてきたら、恐れず教える側にまわった方がいいのかもしれない。

不安を中和せよ!

これはとりわけ目新しい話だった。人間は不安を感じている。常に。しかも、不安なしでは生き延びることができない。不安がなければ赤信号を渡ってすぐ車に轢き殺されてしまう。だから不安は必要なのだけれど、大きすぎると心を病む。老後の心配をして、若い者がうつ病にかかるというトラジック・コメディーまで引き起こされる。

そこで必要なのは不安をなくすことではなく、中和することだ。

酸にアルカリを入れると、中和されて無害なものになる。酸を捨てたわけでもないし、物質自体はそこに存在しているままなのだけれど、他のものと反応することで害のない性質へと変わる。不安も同じ。

では、不安はどうやって中和するのか? とりわけ、正体不明の漠然とした不安はどうやって無害化するのか? それがまさにクリエイションの役割である。古いところでは占い師やシャーマンがそうだが、クリエイターもこの役割を担っている。小説や映画、ドラマなどはいわばご託宣であり、漠然とした不安を中和してくれる

離見の見で自分を見ること

このクリエイター塾では映画などの映像作品を見てきて、それについて分析・解釈を行うという形をとる。このときに重要となるのが世阿弥の唱えた「離見の見」(りけんのけん)だ。

自分が映画を見て、それを面白いと感じたり、つまらないと感じたりする。普通はここまでで終わる。面白ければ満足するし、つまらなければがっかりするだけ。けれど、クリエイター塾での発表では、そう感じている自分自身を離れたところから認識する必要がある。

ある作品が面白いかどうか。どこがどう面白いか、あるいはだめなのか。これはよく考えてはいるが、しかし「離見の見」にまではなっていなかった。作品自体がどうこうというだけでなく、それを視聴した自分の感情がどう動いたのか、あるいは動かなかったのか、作り手がどういう意図でどんな仕掛けを施しているのか、こういうところを深く考察していきたい。

塾で行うこととしては、この考察・洞察を深めて塾生たちと共有することがメインの活動となっていくようだ。

ビッグ・リトル・ライズのご託宣とは?

今回の塾の課題は、Amazonプライムで見られるアメリカのドラマ、ビッグ・リトル・ライズだった。初回だから受講生が発表するということはなかったが、岩崎氏から解説があった。

ビッグ・リトル・ライズのご託宣とはいったい何なのか? 私は「一見幸せそうな家庭にもさまざま問題がある」ということだと思ったが、これはやはり漠然としすぎで、言われたのは「結婚生活はうまくいかない」ということ。

言われてみれば、そういう話だ。私自身は結婚してないし、したこともないし、想像もしていないので、そこまで具体的なテーマ設定までは頭が回っていなかったようだ。さらに、「結婚したあとの性生活には往々にして問題が生じる」というご託宣もそこには含まれている。

これを聞いて、オープニングの映像が腑に落ちた。ビッグ・リトル・ライズのオープニングでは海の情景があり、亀が泳ぎ、だれかが拳銃を構え、情事のような映像が映される。あれは、しょっぱなでテーマを開示していたのだ。

自己紹介と懇親会

後半1時間ほどで、参加者10人の自己紹介。これは全員前に出て行った。プライバシーに触れてはいけないので簡単にまとめるが、年齢層は30代前半から50代くらい。ほとんどが男性で、女性は一人だけだった。

1期からの継続組が多いということもあるのだろうが、みな堂々とした話っぷりで、伝え方がうまい。これもクリエイター塾の成果なのかも。ただ、今回から参加という人も、自分を含めて4人いた。一人ぼっちだったら心細かったので、少し安心。

懇親会は近くの小さめのお店で行った。なかなかヘルシーな料理で量がちょうどよく、タイ・アイスティーがうまかった。

まとめ

まっさきに岩崎氏が語ったのは、この頃ブロマガにも書かれている仕事についてだった。多くの人が、仕事というものに違和感や疑問を抱いている。これはアフィリエイトにも共通。従来の仕事に疑問を抱いているからこそ、アフィリエイトという個人でできる仕事に興味を持つわけだ。

アフィリエイトというのは雇用されてもいないし決まった取引先があるわけでもない。ある意味、「仕事をしないための仕事」なのかもしれない。なんてことを思った。

さて、この月一回の塾では映像作品の分析・考察を各々が発表するというのがメインの活動になる。アウトプットによる学習効果の高さは疑うべくもないので、「授業を受ける」というより「自分が授業をする」くらいの感覚で臨むようにしたい。

次回の課題は映画『ノーカントリー』。すでに3回ほど見ているが、「離見の見」で再度視聴し、恥ずかしくない発表をしたい。