ネットビジネスで大事とされるマインドセット。そのうちの一つに「他人の悪口を言うな」というものがあります。

しかし、本当に悪口や陰口は言わない方がいいのでしょうか? 悪口には実は、とてつもなく大きなメリットがあるのに。

「成功したいなら悪口を言わないこと」

マインドセットは批判をせずに受け入れ、実行した方がいい。おおむね、このような共通認識があります。事実、この方が成功しやすいに違いありません。

しかし、一歩引いて考えてみると「本当にそうか?」と疑問符がつくマインドセットもあり、そのうちの一つがこれです――他人の悪口や陰口を言わないこと。

この命題のロジックは割とはっきりしています。つまり、他人の悪口をいうと悪い面ばかりが見えるようになり、そうすると自分も相手からよく見られなくなってしまう、ということ。自分が悪く思う相手からは、逆に自分も悪く見えてしまう。すると、人間関係が悪化する。だから、悪口は言わない方がいい、と。

これは理解できるのですが、一方、悪口には無視できないメリットもあるのです。マインドセットを語る人にはこの視点がまったく欠けていることが多い。

さて、そのメリットには大きく分けて2つあるので、順に見ていきましょう。

悪口のメリットその1:常識の形成

あなたはどういうときに他人の悪口を言いますか? おそらく、職場や学校といった同一のコミュニティの中に変な人がいたとき、常識を欠いた人がいたときではないでしょうか。

挨拶をしなかった。言葉遣いがおかしかった。お礼がなかった。――このような非常識な言動をつかまえて、そのおかしさを誰かに訴えて共感してもらう。これが多くの悪口のありようです。

ただ単に自分と利害が対立しているだけとか、性格が合わないとかいうだけなら、悪口は言わないものです。必ず、自分の方に理があって相手が常識に反しているという確信があるから、第三者に悪口を言うのです。

そこで「そうだよね」「わかるわかる」と共感を得られると、その人とのあいだに結束が生まれ、そこでまた一段階、コミュニティにおける共通認識が強固なものとなります。

つまり、だれか標的を見つけて影で悪口を言い合うことにより、常識というものが生まれてくるのです。常識はコミュニティが安定して維持される上で不可欠なものなので、このプロセスは欠かせません。

というわけで、悪口は常識を形成して世の中に安定性をもたらすという大きなメリットを担っていることになります。

悪口のメリットその2:最大の娯楽

率直に言って、他人の悪口を言うのは楽しいものです。これ以上の娯楽があるでしょうか?

とりわけ、悪口を楽しんでいるのは女性たちです。電車の中やカフェや街角で、女性たちはいつもだれかの噂話と悪口に花を咲かせています。街中でふと女性同士の話に耳を傾けたとき、そのほぼすべてはだれか共通の知人の噂話ではないでしょうか。

これは誇張でも何でもなく、世のほとんどの女性にとって、他人の悪口というのは人生最大の娯楽となっているはずです。

人生にはさまざまな楽しみや喜びがありますが、子供の頃から老人になるまで間断なく彼女たちが興じているのはだれかの噂話・悪口で、ここまで人生の大半を占める営みというのはちょっと他に見当たりません。

男性の場合は女性ほど悪口を言わない傾向がありますが、それでも言うことは言うし、楽しみの一つではあるでしょう。

というわけで、悪口というのは――とりわけ女性にとって――旅行やグルメや恋愛や子育てをしのぐ、人生における最大級の娯楽なのです。

ちなみにですが、悪口を「楽しい」と感じるのは、一つ目のメリットで指摘した通り、それが人間のコミュニティにとって不可欠な営みだからだと思われます。本能レベルで、人間は悪口を楽しむようにインプットされているはずです。

成功を取るか? 娯楽を取るか?

他人の悪口・陰口は言わない方がいい。その方が成功へと近づける。このマインドセットはおそらく正しい。成功したいなら、素直にしたがった方がいい。

しかし、一方で悪口にもメリットがある。だれかが日々悪口を言い合ってくれるおかげで常識が保たれ、社会が安定する。おまけに悪口は、比喩でも大げさでもなく、一生言い続けても飽きないものです。それほど本能レベルで楽しい娯楽なのです。

となると、その有益かつ楽しいことを捨ててまで、言いたくてたまらない悪口を封じてまで、成功を選ぶべきなのでしょうか?

おそらく、想像以上に多くのひとが、意識しないまま「NO」という選択をしているはずです。

悪口を言っている人に感謝しよう

ところで、私自身は悪口を言いたいか言いたくないかで言うと、言いたくありません。というより、そんなに悪口に興味がありません。たぶん、男性的な要素が強いのでしょう。

しかし、悪口が世の中の安定のために必要なのはわかります。理解しています。

悪口がなくなった世の中は自由で開放的になって、突出した人物も多く出てくるでしょう。しかし一方で、社会の安定性は失われ、あちこちで不都合が起きてくるに違いない。そんな世界は生きづらいはずです。

成功のためのマインドセットとして悪口や陰口を個人として自重するのは勝手ですが、これは一面、社会にとって必要な役割を放棄することでもあります。なので、悪口を言う人を軽蔑するなどもってのほか。

もしも自分の成功のために「人の悪口を言わない」と決めたなら、街角で悪口を言い合う女性たちには感謝を捧げねばなりません。自分の代わりに、今日も悪口を言ってくれてありがとう、と。

そのおかげで、私たちは安定した社会に暮らせるのですから。