北関東のとある山奥に、庵を結んでたったひとり住まう白髪の老人がいた。老人はキーワードの匠と呼ばれていた。

アフィリエイトを始めた当初、一度匠の元を訪れた私だったが、この度、アフィリエイトを始めて一年が経ち、もう一度、匠の庵を訪ねた。以下はその問答を記録したものである。

清水Air、キーワード選定の悩みを相談する

「お久しぶりです、匠」

「おお、久しぶりじゃの。半年ぶりくらいになるか。どうじゃ、キーワードは見つかっておるか」

「それが、なかなかいいキーワードが見つからないのです。どれもライバルばかりで、サイトを量産してもなかなか上位表示しません。いったいどうすればいいのでしょうか? ニッチなキーワードと言われても、どれもそうは見えないのです」

「ほっほっほ、苦労しておるようじゃな。関連キーワードがどれもライバルが強いと、上位表示できそうにないと感じておるわけか?」

「はい。最安値や口コミはもちろん、楽天やAmazon、販売店といったキーワードでも、なかなか……。もしや、どのキーワードも、もうすでに他の人に抑えられていて、いくらやっても無駄なのではないでしょうか?」

「そんなことはありゃせんよ。ニッチなキーワードはいくらでもある。それが見えないのは、おぬしの目が濁っておるからじゃ。その濁りを清くせねばならん」

「しかし、関連キーワードはもう見えています。だれにでも見える状態になっています。だったら、『見えない』なんてことはないのでは?」

「それが、あるのじゃよ。もちろん、新着でキーワードが少ない場合は見えん。それは仕方がない。じゃが、たとえば数十、数百のキーワードが出てくるものもある。その中にはライバルの少ないキーワードもあるのじゃ。

小川

おぬしは今、他の人にすべて抑えられているんじゃないかと言ったな? それは大きなまちがいじゃ。なぜなら、キーワードは人の心、世の中の動きとともに流れ、変化していくものなのだから。

たとえば1年前に新着となり、3か月前に人気に火が付いた商品があるとしよう。その商品のキーワードはその3か月前にようやく生まれたものがたくさんあるはず。そのすべてが、ライバルに抑えられていると思うか?」

「いいえ。思いません」

「そういうことじゃ。キーワードは不動のもの、固定したものではない。常に移ろっておる。その中にはまだだれも手を付けていないキーワードが存在しておるのじゃよ。『人の行く裏に道あり花の山』というやつじゃな。それを発見するには、たくさんの商品のたくさんのキーワードに接し、流れを感じ取ることじゃ」

「なるほど、わかりました。やってみます」

ずらしキーワードとは何か? りんごを使った匠の説明

「それともうひとつ、ずらしキーワードというものについても教えていただけませんか? いったい、ずらしとは何なのでしょう?」

「よろしい。ではまず、これが何に見える?」

赤い何か

「……それは、りんごです」

「おぬしには、これがりんごに見える。ふむ、なるほど」

「匠、私をからかっているのですか? それがりんご以外に、いったい何だというんです?」

「たしかに、これはりんごじゃ。しかし、りんごに詳しいものであれば、これはジョナゴールドだというかもしれん。あるいは、赤い果物というかもしれん。りんごというのは、唯一の答えではないということじゃ」

「しかし、たいていの人はりんごと答えるのでは? いちいち品種を言うのでしょうか? まして赤い果物だなんて、りんごを知らない人なんていないでしょうし」

「それが、おぬしの思い込みなのじゃ。普段りんごに接している人ならば、その品種に区別に敏感になっている者ならば、品種を答えても不自然ではない。あるいは、果物を色で分類している作業中であれば、これを赤い果物という場合もあろう」

「そんな場合があるでしょうか?」

「ずらしキーワードの話に戻そう。肝腎なのは、キーワードを打ち込むものの知識や状況を、おぬしが正確に把握できないということじゃ。場合によっては、思いもよらぬ言葉を使うかもしれん。それを考えなければいけないのじゃよ。

りんごひとつとっても、品種で言うこともできるし、その特徴でりんごを表現するかもしれぬ。明けの明星と宵の明星がおなじ金星を表すように、別の言葉がおなじものを指す場合がある。それがずらしなのじゃよ」

「なるほど。同じものを別の言葉で表現したもの、それがずらしなのですね」

「ああ、そうじゃ。じゃが、検索するものの意図や状況を想像せねばいかんよ。ただの言い換えでは、だれも検索せんからな。

ひとつクイズを出そう。『お手』は何のずらしキーワードかな?」

「お手……? 犬の躾、のことでしょうか?」

「そうじゃ。犬の躾、あるいは、犬じゃな。お手といえば、それは犬に関連していると決まっておる。では、土俵といえば?」

「それは簡単です。相撲のことです」

「そうじゃ。土俵といえば、相撲の土俵以外にはない。つまりは、そういう密接に関連した言葉、しかしそのものずばりでない言葉というものを探せばよいのじゃ。そうすれば、検索ユーザーの訪れる、宝のようなキーワードを見つけられるじゃろう」

「わかりました。ありがとうございます! やってみます」

「ああ、やってみなさい」

匠からの忠告を受け、下山

「ただし、すぐに見つかるなどと思ってはいけないぞ。10も20も30も試して、ようやく1つ2つ見つかるものだと思いなさい。時間はかかるが、もし見つかればそれはおぬしだけの宝。他のアフィリエイターが強いとはいっても、それを見つけられる可能性はきわめて低い。SEOが強いこととキーワード選びのうまさはまた別じゃなからな。苦労は報われるというわけじゃ」

こうして、私とキーワードの匠との対話は終わった。また自分のレベルが上がったら、ふたたび匠に教えに乞いにいこう。そのときには、また新たな気づきを与えてくれるだろうから。